地質構造を把握する手段には様々な方法があります。
例えば、現地踏査により地表の地質の分布状況を把握し、その地層の走向・傾斜から地中の構造を推測したり、さらにボーリング調査を実施して、ボーリングにより得られたコアを観察することにより、その地点の深さ方向の地質分布状況や亀裂の状況および破砕帯の状況などを明らかにし、地質構造をより正確に把握することができます。
しかし、ボーリングコアからは、地質境界や亀裂深度を知ることができても、その走向・傾斜、亀裂の開口状況などはわかりませんでした。
地質調査に関わったことのある方なら、一度は思ったことがあろう「ボーリング孔の中を覗けたら」という思いを実現させたのが、ボアホールカメラです。ボアホールカメラの最大の利点は、直接孔内を観察できるため、ボーリングコアではわからなかった層理面や亀裂の走向や、地中での亀裂の開口幅などを知ることができる点にあります。これらの情報は地質構造を把握するだけでなく、岩盤の構造解析や浸透流解析をする上で有益な情報となります。
我が社では、BIPシステム*1)を用いて、地中の状況をリアルタイムでお見せすることができます。
BIPS-V
BIPシステム(Borehole Image Processing system)は、現場測定システムと室内解析システムからなっています。
BIPシステムの特徴は、孔壁画像を得る際に、コーンミラーから画像をサンプリングすることにより、画像の歪みを無くし、正確な走向・傾斜を測定できるようになっています。
BIPシステムの最新機種であるBIPS-Ⅴは、1台で観測の目的に応じてプローブ先端のアタッチメントを交換するだけで、従来からの光学式による孔壁展開画像のほか、超音波式のセンサによる懸濁水中での測定ができるようになりました。
BIPシステムにより得られた展開画像を基に、BIPS解析ソフトを使い地層境界や割れ目の走向・傾斜を解析でき、地質構造をより正確に把握することができます。
BIPS解析ソフトは、地質境界や割れ目の走向・傾斜を統計処理することができ、ステレオネットなどにその結果を表示できるだけでなく、割れ目の開口幅を累計的に表示することにより、地盤の緩み領域を判定することもできます。
BIPシステムによる解析側
*1) BIPシステム(BIPS) : (株)レアックスが開発した孔内観測装置。アース・スキャニング研究会(旧BIPS技術研究会)がその運用技術を研究しています。