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物理探査手法 - 弾性波探査 - 屈折法地震探査

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屈折法地震探査

屈折法地震探査は、地盤構造を弾性波が伝わる速度の違いとしてとらえる手法です。弾性波速度からは地盤の硬軟などの工学的情報を得ることができ、その構成状況から地質構造等を推定することにも利用できます。土木・建設の分野では弾性波探査といえば屈折法地震探査のことを指します。弾性波探査で求められる速度値は、信頼性が高いとともに地盤強度との相関性が良く、岩種と弾性波速度から岩盤分類や地山区分の情報として利用されており、設計・施工時の有益な情報を関連技術体系に提供するものとして重要です。これらの特徴を生かして、土木構造物や資源開発および一般地質構造調査などを目的として広範囲に利用されています。

屈折法地震探査では、地表付近で弾性波を発生させて地表の測線上に適当な間隔で展開した複数の受振点(振動計)でその波動を測定します(屈折法地震探査模式図)。
波動のうち受振点にもっとも早く到着する波を初動と呼び、初動が確認できる記録をとる必要があります。振源距離が近い場合には、第1層を最短距離で伝播する直接波が初動となり、振源距離がある程度遠方になると屈折波が初動となります。これを図1で説明しましょう。

最も簡単な水平2層構造を考え、上層の第1層の速度をV1、第2層の速度をV2とします。ここで、V1 < V2とします(一般的な環境では地層速度は深部ほど速くなっています)。波動の到達時間を振源との距離でプロットした図を走時曲線図と呼びます。TV1は第1層中を最短距離で伝播する直接波です。T2は境界面で臨界屈折(図2)して境界面付近の第2層を伝播し、再び臨界屈折角で第1層に戻って地表で観測される臨界屈折波です。弾性波探査ではこの波を単に屈折波と呼び、屈折法地震探査の名称の由来です。ここでは証明はしませんが、臨界距離より遠方では臨界屈折波がもっとも早く観測点に到着して初動となります。解析に用いるのは、直接波と屈折波です。

図1.水平2層構造と走時曲線の模式図
図1.水平2層構造と走時曲線の模式図

図2.臨界屈折とスネルの法則
図2.臨界屈折とスネルの法則

図1は、水平2層構造で得られる走時曲線の模式図です。
T1は直接波の走時、T2は屈折波の走時を示しています。各直線の傾きは、各層中を伝播する弾性波速度の逆数となっています。

図2は、臨界屈折を説明するものです。速度の異なる均質物質第1層と第2層が境界面Rで接しています。速度はV1 / V2です。第1層側から波動が入射します。入射角をθ1、屈折角をθ2とすれば、その角度は伝播速度V1とV2の比によって決まります。つまり式では sinθ1 / sin θ2 = V1 / V2 であり、これをスネルの法則といいます。入射角を大きくとっていくと、ついには屈折角が90度となり境界面に沿った波が観測されます。このときの入射角を臨界屈折角といいθ12と表します。sin90°= 1ですから、
    sinθ12 = V1 / V2
となります。

これは屈折法地震探査で使用する基本原理で、屈折波は臨界屈折によって説明されます。

■ ワンポイント

屈折現象
私たちは、よく屈折現象を体験しています。水を入れたコップに真直ぐなはずのストローを挿したとき、折れ曲がって見えたことがあるでしょう?

光の屈折により、このように見えるのです。

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